AIコールセンターの費用を調べようとすると、「要問い合わせ」ばかりで相場が掴めません。それは調べ方が悪いからではなく、実際に大半のサービスが料金を公開していないからです。主要20サービスの公式サイトを一件ずつ確認した結果と、実額が分かっているサービスの価格、そして「1コールあたりいくらか」に換算する方法を整理しました。
AIコールセンター主要20サービスの公式サイトを2026年7〜8月に一件ずつ確認した結果、初期費用・月額の実額を公式に公開していたのは8サービス(40%)でした。残る12サービスは、公式非公開(個別見積)か、代理店・比較サイトの二次情報しか存在しない状態です。
| 価格情報の確度 | 件数 | 内容 |
|---|---|---|
| 公式公開 | 8 | 公式サイトに初期費用または月額の実額が掲載されている |
| 代理店/比較サイト情報 | 6 | 公式には無く、第三者媒体にのみ金額の記載がある。掲載時点が不明なものが多い |
| 不明 | 4 | 公式・第三者ともに金額の記載を確認できなかった |
| 推定 | 1 | 類似構成からの推定値しか存在しない |
| 非公開(自社) | 1 | 本サイト運営元のAIコールセンター。他社と同じ基準で「非公開」と扱っています |
上の8件には、海外のCCaaS基盤(Amazon Connect、Google、NICE、Genesys、Zendesk)やチャットボット製品が含まれています。電話応対を主軸にした国内サービス8つに絞ると、公式サイトで月額を確認できたのは2件だけでした。
| 国内サービス | 料金の公開状況 | 公開されている金額 |
|---|---|---|
| IVRy(アイブリー) | 公式公開 | 初期0円/月額0円〜10,480円(税抜) |
| トビラフォン Cloud | 公式公開 | 初期30,000円/月額3,000円〜(税別) |
| AI Worker VoiceAgent(AI Shift) | 二次情報のみ | 公式非公開・個別見積 |
| PKSHA VoiceAgent | 不明 | 公式非公開 |
| COTOHA Voice DX Premium | 不明 | 初期・月額とも公式非公開 |
| MOBI VOICE / MOBI AGENT | 二次情報のみ | 公式非公開(比較メディア発で初期30万円〜/月額15万円〜。掲載時点不明) |
| AmiVoice Communication Suite | 推定 | 公式非公開 |
| AIコールセンター(自社) | 非公開 | 月額基本料+従量課金。要問い合わせ |
この調査結果には、自社サービスも他社と同じ基準で含めています。当社も料金を公開していません。「他社は非公開だが自社は明朗」という主張をするための調査ではなく、この領域で相場が掴みにくい理由を明らかにするための実査です。詳細な比較はAIコールセンター比較20選に掲載しています。
料金非公開を不誠実と決めつける前に、構造的な理由を知っておくと見積の読み方が変わります。
月100件の代表電話と、月10万件のコンタクトセンターでは、必要な同時回線数もシステム連携の規模も別物です。この幅を一枚の料金表に載せると、どの層にとっても意味のない数字になります。
基幹システムとの連携や本人確認を伴う案件は、要件定義そのものに工数がかかります。ソフトウェアのライセンス費より、初期構築とチューニングの人件費のほうが大きいケースは珍しくありません。ここは事前に定額で示しにくい部分です。
エンタープライズ向けの商習慣として、単純に価格を晒したくないという事情もあります。海外のエンタープライズCXでは、公式サイトに料金ページ自体が存在しない例もありました。
非公開のサービスに問い合わせるとき、いきなり詳細見積を求めると商談プロセスに入るまで数字が出てきません。「月◯件の入電で、用件は◯種類。この規模だと年間の総額はどのレンジになりますか」と幅で聞くと、初回の打ち合わせでも概算を得やすくなります。桁が合わなければ、そこで検討から外せます。
| モデル | 課金の考え方 | 向いているケース/注意点 |
|---|---|---|
| 月額固定+従量 | 基本料に加え、通話時間や件数に応じた従量課金。中小企業向けはこの型で公開価格を持つことが多い | 入電量が読める窓口。繁忙期に従量分が跳ねるので、ピーク月で試算する |
| 完全従量 | 固定費なし。1分単位・1コール単位・処理単位での課金 | 季節変動が大きい業務。小さく始めやすい反面、量が増えると固定型より割高になる分岐点がある |
| 個別見積(非公開) | コールセンター規模のボイスボットと海外エンタープライズCXはほぼこれ。成果ベース課金の例もある | 月間数万件以上、基幹システム連携が前提。契約は年単位が基本で、途中の縮小が難しいことがある |
成果ベース課金(AIが解決した件数に対して課金する方式)は、一見すると発注側に有利に見えます。ただし「解決」の定義を誰がどう判定するかが契約の核心になります。定義が曖昧なまま契約すると、想定外の請求が発生し得ます。
公式に金額が出ているものだけを並べます。金額は2026年7〜8月時点の公開情報です。
海外CCaaSの単価は席数ベースで、日本円換算・日本法人経由だと条件が変わります。また日本語の音声品質は別途の検証が必要です。米国のリスト価格をそのまま国内の予算計画に使わないでください。
クラウド型の従来型IVRは初期費用無料〜30万円程度、月額は出典により幅がありますが数千円〜数万円です。AIコールセンターの費用対効果を判断するときは、この「安いが聞き取れない」選択肢を基準線に置くと考えやすくなります。IVRで足りるなら、そちらのほうが確実に安価です。
基本料だけを並べて比較すると、実際の請求額は簡単に逆転します。見積書に載っているか確認すべき費目です。
| 費目 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 通話料 | 電話回線そのものの費用。着信・発信で異なる | サービス料金に含まれるのか別建てか。番号を持ち込む場合はどうなるか |
| 転送料 | AIから有人へ転送した通話の通話料 | 転送率が高い窓口ほど効く。固定電話向けで1分14.3円程度が目安 |
| SMS送信料 | 住所入力フォームや予約確認の送信費 | 1通あたり14円前後。完了率を上げるほど送信数が増える |
| 初期構築費 | フロー設計、システム連携、テスト | ライセンス費より大きくなることがある。範囲外の作業単価も確認する |
| チューニング費 | 運用開始後の応答改善 | 自社で編集できるのか、都度ベンダー作業(有償)なのか |
| 同時回線の追加 | ピーク時の同時着信数を増やす費用 | 繁忙期のピーク件数で試算する。平常時の見積では足りない |
| 最低利用期間 | 年契約の縛り、途中解約の条件 | 効果が出なかった場合の撤退コスト。スモールスタートの可否に直結 |
料金モデルがバラバラなサービスを比較する唯一の方法は、同じ土俵に乗せることです。
初期費用は、想定利用期間(例:24か月)で割って月額に按分すると比較しやすくなります。
月間1,000件の入電、平均通話3分、うち20%を有人転送、30%にSMSを送る窓口を想定した場合の考え方です。以下は計算方法を示すためのモデルであり、特定サービスの見積ではありません。
| 費目 | 計算 | 月額 |
|---|---|---|
| 基本料 | プラン月額 | 10,480円 |
| AI自動応答(従量) | 1,000件 × 3分 × 3.3円/分 | 9,900円 |
| 転送分の通話料 | 200件 × 3分 × 14.3円/分 | 8,580円 |
| SMS送信 | 300通 × 14.3円 | 4,290円 |
| 合計 | 33,250円 | |
| 1コール単価 | 33,250円 ÷ 1,000件 | 約33円 |
この試算で分かるのは、基本料は総額の3割程度にすぎないということです。残りは通話量と転送率とSMS数で決まります。だからこそ、比較の軸は基本料ではなく1コール単価になります。
また、転送率が20%から40%に上がると転送料が倍になります。「人に繋ぐ率」がそのまま費用に効くため、自動完了率を上げる運用は品質改善であると同時にコスト改善でもあります。
有人の電話一次受けサービスは1件200円前後(fondesk 公開料金からの換算)です。AIによる自動応答は概ね10円/件前後。同じ「電話に出る」という行為で約20倍の差があります。
| 項目 | 金額 | 出典・前提 |
|---|---|---|
| コールセンタースタッフ 募集時平均時給 | 1,484円 | リクルート 三大都市圏、2026年2月度 |
| 1席あたり人件費(月160時間) | 約23.7万円 | 上記時給 × 160時間 |
| CTI席料 | 15,000円/月 | BIZTEL 公開価格 |
| 1席あたり月額合計 | 約25万円 | 採用・研修コストは含まず |
入電の8割を自動化できた場合、AI費用を含めても1席あたり月18〜19万円の削減余地が出る計算になります。ただしこれは定型的な問い合わせが多い窓口での上限値です。判断や交渉を伴う窓口では自動化率が下がり、削減額もそれに比例して小さくなります。
試算の前に、自社の入電のうち定型で終わる用件が何割かを実測してください。直近1か月の入電を用件別に数えるだけで、期待値の精度は大きく変わります。この作業を省いた導入は、ほぼ必ず「思ったより減らない」で終わります。進め方はAIコールセンターとは|仕組み・費用相場・導入手順の完全ガイドにまとめています。
2026年7月から8月にかけて、国内ボイスボット、CCaaS基盤、海外エンタープライズCX、チャットボット、従来型IVRを含む20サービスについて、各社の公式サイト・公式プレスリリース・公式ドキュメントを確認しました。金額の記載を確認できたものを「公式公開」、公式に記載がなく代理店や比較メディアにのみ記載があるものを「代理店/比較サイト情報」、いずれにも記載がないものを「不明」として分類しています。
公開情報で確認できなかった項目を推測で埋めることはしていません。「非公開」は機能や価格が存在しないという意味ではなく、公開情報からは確認できなかったという意味です。また、本調査には当社サービスも他社と同じ基準で含めており、当社も料金は非公開に分類されています。
費用対効果を左右するのは自動完了率、つまり「どれだけ人に繋がずに終われるか」です。カタログでは分かりません。言い直しや相槌を含む実際の話し方でデモを試したうえで判断してください。
記載内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。各社の料金・機能は変更されることがあるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者であり、本ページには自社サービスの案内を含みます。