ディーラーや整備工場の電話は、工場が一番忙しい時間に鳴ります。車検や点検の予約、日時の変更、「車はもう仕上がりましたか」という入庫状況の確認。受付スタッフやフロントが接客中なら取れず、メカニックがピットから戻って取れば作業が止まります。AIコールセンターは、予約と定型の問い合わせをAIが受け、事故・故障の連絡や見積もりの相談など人が判断すべき電話だけをスタッフへつなぎます。車検案内や点検のリマインドといった、こちらからかける電話も同じ仕組みで自動化できます。
ディーラー・整備工場の入電は、予約とその変更、入庫中の車の状況確認、営業時間や場所などの定型質問、そして事故・故障・クレームなど人の判断が要る電話の4つに大きく分かれます。件数が多いのは前の3つで、答えや聞く項目がほぼ決まっています。AIに任せるのは前の3つ、4つ目は用件を見分けて人へつなぐ、という分け方が基本です。受電の自動化の全体像はAI電話対応のページに、架電も含めた仕組みはAIコールセンター完全ガイドにまとめています。
| 用件 | 内容 | AIでの扱い |
|---|---|---|
| 車検の予約(受電) | 車検の日程、代車の要否、見積もりの有無、引き取り納車の希望 | 車種・登録番号・満了日・希望日時・代車の要否を聞き取り、予約枠を照会して確定、または担当者へ通知 |
| 点検・オイル交換・タイヤ交換の予約(受電) | 法定点検、6か月点検、オイル交換、季節のタイヤ履き替え | 作業の種類ごとに所要時間を決めておき、空き枠を案内して予約。予約ページのURLをSMSで送ることもできる |
| 予約の変更・キャンセル(受電) | 入庫日の変更、時間の変更、キャンセルの連絡 | お名前と予約日で特定し、変更内容を聞き取って記録・通知。空き枠と連携していれば、その場で振り替え |
| 入庫状況・仕上がりの確認(受電) | 「車はいつ仕上がるか」「引き取りに行ってよいか」 | 作業状況をシステムから参照できれば自動で回答。できない場合は用件を聞き取り、担当者から折り返す |
| 営業時間・場所・定休日(受電) | 営業時間、定休日、店舗の場所、駐車場、支払い方法 | 定型回答で自動完結。地図のURLはSMSで送信 |
| リコール・サービスキャンペーン(受電) | 通知が届いた、対象かどうか知りたい、いつ直せるか | 対象確認の方法を案内し、修理の入庫予約を受け付ける。対象かどうかの判断は担当者またはメーカーの照会結果で行う |
| 修理・板金の相談、見積もり(受電) | 異音・警告灯・キズやへこみの修理、見積もりの依頼 | 症状と車の情報、写真の送付可否を聞き取り、担当者へ引き継ぐ。診断や金額の回答はしない |
| 事故・故障・ロードサービス(受電) | 事故を起こした、走行中に止まった、バッテリーが上がった | AIで完結させない。用件を判定した時点で担当者へ即転送。つながらない場合の連絡先(保険会社・ロードサービス窓口)の案内を決めておく |
| 営業・商談の問い合わせ(受電) | 新車・中古車の在庫、試乗、下取りの相談 | 希望車種と連絡先、来店希望日を聞き取り、営業担当へ通知。試乗の予約枠と連携すれば予約まで |
| 車検案内・点検のリマインド(架電) | 満了が近いお客様への車検案内、点検時期のお知らせ、予約前日の確認 | 顧客リストから一斉に架電し、入庫の意向と希望時期を聞き取る。不在は留守番電話とSMSで残す |
用件ごとの比率は、店舗の規模や販売・整備の比重で大きく変わります。ただ、どの店舗でも共通するのは、予約・変更・状況確認・定型質問のように聞く項目が決まった電話が件数の大半を占め、事故や見積もり相談のような判断が要る電話は件数は少ないが1件が重いという構造です。導入を検討するときは、まず直近1か月の入電をこの表の区分で数えてみてください。AIに任せられる範囲の大きさが、そのまま効果の大きさになります。
ディーラー・整備工場の電話対応がつらいのは、件数そのものより、電話が増える時期と人手が足りない時期が重なるためです。
ディーラーの予約業務の負担を示す公開情報として、トヨタカローラ栃木の例があります。LINEでの予約受付を導入する前は、従業員が毎日1〜2時間を電話対応に使い、夕方には20〜30件の電話を取ることも珍しくなかったと紹介されています。予約をLINEで受けるようにしたところ、予約の84.6%が営業時間外に入り、予約関連の工数は1日あたり約1時間減ったとされています(東洋経済オンライン、2023年10月)。これは電話ではなくLINEの事例ですが、お客様は営業時間外に予約したいこと、予約の受付がスタッフの時間を相当に使っていることを示す数字です。
車検期間の拡大で、予約の山は3月から2月へ前倒しで分散する余地が生まれました。ただしそれは、早めに案内して予約を取りに行く店舗に限った話です。満了2か月前の時点で車検案内の架電やSMSを送り、予約をこちらから押さえにいく運用とセットで考えると、繁忙期の電話の山を平らにできます。
線引きの考え方は、「聞く項目と答えが決まっている電話」はAI、「車の状態や金額、安全に関わる判断が要る電話」は人です。自動車の場合、これに「事故・故障は用件を判定した時点ですぐ人へ」という原則が加わります。
会話の設計では、冒頭で「事故や故障でお困りの方は」と先に振り分けるかどうかを決めておきます。事故の連絡をした方が予約の質問を何問も聞かれると、それだけで不信感につながります。予約の電話が大半を占める店舗でも、「事故・故障」「予約」「その他」を最初の一言で見分け、事故・故障だけは質問を挟まずに担当者へ転送する流れを推奨しています。
ディーラー・整備工場の電話は、受ける電話だけではありません。車検の案内、点検時期のお知らせ、予約前日の確認、仕上がりの連絡など、こちらからかける電話も毎日発生しています。どれも聞くことが決まっていて、1件は短いのに、日中はつながりにくくかけ直しが多い電話です。
かける時間帯と頻度には配慮が必要です。知らない番号からの着信に出ない人は87.8%という調査(フォレスタ、2024年、n=500)もあり、1回で全員につながる前提は置けません。生活時間帯の違う2〜3回に分けてかけ、つながらなければ留守番電話とSMSで用件と予約ページを残すのが基本です。冒頭で店舗名と用件を名乗り、質問を2〜3問に絞り、「今後の案内は不要」と言われた番号は対象から外します。21時以降や早朝の架電は避けます。
当社の導入事例では、エアコン工事の株式会社宝宮設備様が、設置日を確認する架電をAIに任せ、つながらない場合は留守番電話にメッセージを残すところまで自動化しています(導入事例)。業種は違いますが、「日程を確認し、変更希望だけを人が拾う」という構造は、入庫前日の確認や車検案内と同じです。架電の設計は配送・設置工事のAIコールセンターでも詳しく扱っています。
新車ディーラーがAI電話で車検予約を受けている事例は、数値つきで公表されたものを見つけられませんでした。一方、カー用品店のピット、中古車・カー用品の店舗、ロードサービスの受付では公表事例があります。いずれも他社サービスの事例で、数値は各社の公表資料にもとづきます。
ロードサービスの事例は、保険会社や専門事業者が受付体制を整えたうえでの自動化です。ディーラー・整備工場の窓口では、事故・故障の電話を自動で完結させるのではなく、人へ早くつなぐためにAIを使うのが現実的です。
4つの事例に共通するのは、定型の問い合わせと予約をAIで受け、人は緊急性の高い電話と判断の要る電話に集中するという分け方です。当社の導入事例でも、宝宮設備様は1日20〜50件の受電の約9割をAIが用件のヒアリングから案内まで完結させ、緊急性が高いものや判断が必要な約1割だけを担当者へ取り次いでいます。これらを含む27事例の数値は導入事例27選で一次ソースつきで確認できます。
今の店舗の電話番号は変えずに、転送の設定で使い始めるのが一般的です。夜間・定休日だけ、話し中のときだけ、といった条件つきの転送から始めることもできます。
AIコールセンターの料金は、月額の基本料に、通話量に応じた従量課金、有人への転送の通話料、SMSの送信料が加わる形が一般的です。席数課金ではないため、3月のように電話が一時的に増える業種ほど、人を増やす場合との差が出ます。
| 方式 | 費用の構造 | 難点 |
|---|---|---|
| スタッフ・メカニックが取る | 金銭の追加費用はないように見えるが、電話のたびに作業と接客が止まる | 繁忙期ほど取りこぼしが増える。営業時間外は受けられない |
| 受付スタッフを増やす | コールセンタースタッフの募集時平均時給は1,484円(リクルート、2026年2月度・三大都市圏)。月160時間で1人あたり月額約24万円が目安 | 繁忙期だけの増員は難しく、閑散期は余る |
| 電話代行(有人)に外注 | 一次受け1件200円前後の従量が目安(公開料金からの換算) | 予約の確定まではできず、伝言になることが多い |
| AIの一次受け | 月額基本料+通話などの従量。件数が増えても1件あたりの単価が上がりにくい | 作業ごとの予約ルールと、事故・故障の転送先の整備が必要 |
比べるときは、見積書の月額ではなく「1コールあたりの総額」に換算します。当サイトの費用相場ページでは、月1,000件・平均3分・転送20%・SMS30%という条件のモデルで、1コール約33円になる計算例を示しています。自動車の窓口は事故・故障や見積もり相談の転送が一定数あるため、転送率を見積もりの前提に入れておくと実態に近い数字になります。
効果のほうは、削減できた電話対応の時間に加えて、取りこぼしていた予約で見ます。営業時間外や繁忙期に取れなかった電話のうち、何件が車検・点検の予約だったかを数えれば、1件あたりの整備売上から機会損失の規模を試算できます。サービスごとの機能と料金の違いはAIコールセンター比較にまとめています。
テスト通話で会話を確認したうえで、標準的には1〜2週間で運用を始められます。予約システムとの連携を含める場合は、連携方法の確認に時間がかかることがあります。人に残す電話の考え方はコールセンター無人化の現実解で整理しています。
自動化の効果は、入電の内訳と、作業中や営業時間外に取れなかった電話の量で決まります。直近1か月の入電を用件別・時間帯別に整理するところからご相談いただけます。予約受付の実際の応対音声も、デモでご確認ください。
車検台数と車検期間の拡大は国土交通省の報道発表(2024年6月25日)、整備士不足と整備学校の入学者数は国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」、整備要員の平均年齢は日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」、リコール届出件数は国土交通省の令和7年度速報(2026年4月28日)にもとづきます。アイエー・IDOMはIVRy社のプレスリリース、アップガレージグループはIVRy社の導入事例、MS&ADインシュアランスグループ3社はトゥモロー・ネット社のプレスリリース、日本ロードサービスはインプレス DIGITAL Xの記事、トヨタカローラ栃木は東洋経済オンラインの記事にもとづく、他社サービス・他社の公表事例です(2026年9月閲覧)。知らない番号の着信に関する数値はフォレスタの2024年調査、時給はリクルートの2026年2月度・三大都市圏の調査にもとづきます。宝宮設備様の数値は当社導入事例インタビュー(2026年7月27日公開)にもとづきます。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者です。