介護施設でAIコールセンターが効く理由
- 電話を取る人がケアの担い手でもある — 相談員や介護職員が電話に出るたびに、介助や記録の手が止まります
- 用件の型がはっきりしている — 面会の予約、見学の申し込み、空き状況の確認、書類の依頼など、聞く項目が決まった電話が多くを占めます
- 見学の電話は、つながらないと次の施設へ移る — 入居先を探す家族やケアマネジャーは複数の施設に同時に連絡しています。受け皿があるかどうかが入居の相談につながるかを左右します
- AIの守備範囲を受付に限定できる — 入居者の容体や入居の可否には触れず、聞き取りと取次に徹する線引きを設計段階で決めます
介護施設で、実際に鳴っている電話
介護施設の電話は、かけてくる相手によって用件の性質がまったく違います。大きく分けると、入居者の家族、ケアマネジャーや医療機関、入居を検討している方の3方向から鳴っています。
この中で、AIの一次受付が特に効くのは面会予約・見学の申し込み・資料請求です。聞く項目が決まっており、施設側で受付の枠を決めておけばAIだけで受付を完了できます。一方、入居者の様子や入居の相談は、件数が少なくても職員が直接話すべき用件です。
電話が鳴る時間帯にも特徴があります。家族からの電話は仕事の休み時間や夕方以降に、ケアマネジャーからの電話は平日の日中に集中しがちです。どちらも職員が食事介助や入浴介助、記録の作業に追われている時間と重なります。夜間は職員の配置が少なく、電話に出ることそのものが入居者の見守りを手薄にします。
AIに任せる範囲・任せない範囲
介護施設にAIを置くとき、最初に決めるのはAIに何を話させないかです。入居者の健康や生活に関わる情報は、誤った案内が家族の不安や行き違いに直結します。
AIに任せる範囲
- 用件の聞き取りと振り分け — 誰からの、何の電話かを聞き、相談員・看護職員・事務・管理者など担当へ振り分けます
- 面会・見学の予約受付 — 施設が決めた枠の中で希望日時を聞き、予約として受け付けます。確認のSMSを送ることもできます
- 定型の案内 — 面会時間、持ち物、駐車場、アクセス、公開している料金表の範囲の質問に答えます
- 入居相談の基本情報の聞き取り — 要介護度、現在の居場所(自宅・病院・他施設)、希望時期、連絡先を聞き、相談員の折返しを予約します
- 夜間・休日の受付 — 急ぎでない用件は翌営業日の対応として受け付け、急ぎの用件は当直の職員に通知します
AIに任せない範囲
- 入居者の体調や様子の説明 — 「母は元気にしていますか」という問いにも、AIは答えません。担当職員からの折返しにつなぎます
- 入居・受け入れの可否の判断 — 医療的なケアの必要性や認知症の状態によって受け入れの判断が変わるため、相談員が判断します
- 緊急の連絡への対応 — 入居者の急変や事故に関する連絡は、聞き取りに時間をかけず、すぐに職員へつなぐ設計にします
- 個別の費用の見積もり — 介護度や加算によって変わる金額は、相談員が説明します
- 苦情の処理 — 介護事業者には苦情を受け付けて対応する体制が求められています。AIは受付と記録にとどめ、対応は管理者が行います
AIの一次受付の価値は、電話を「なくす」ことよりも、職員が電話に出るタイミングを選べるようにすることにあります。用件と連絡先が整理された状態で通知が届けば、介助がひと段落したところで、急ぐ順に折り返せます。
家族からの電話と本人確認
介護施設の電話で慎重に扱うべきなのは、入居者の情報を、誰になら伝えてよいかです。入居者の健康状態や生活の様子は、要配慮個人情報を含む情報です。
施設には、入居時に登録された家族(身元引受人やキーパーソン)がいます。一方で、電話をかけてくるのはその家族だけではありません。登録されていない親族、知人、近所の方、ときには入居の事実そのものを知られたくない相手から電話がかかることもあります。
AIは「入居しているかどうか」も答えない
基本の設計は、AIは入居の有無を含めて、入居者に関する情報を一切答えないことです。家族からの電話であっても、AIはかけてきた方の氏名・続柄・連絡先・用件を聞き取り、担当職員に取り次ぐところまでにとどめます。本人確認と情報の開示の判断は、登録情報を見られる職員が行います。
面会予約は登録情報との照合で
面会予約のように家族からの依頼をAIで完了させたい場合は、入居者名と家族の氏名・電話番号など、施設に登録された情報と照合できる項目を組み合わせます。照合が取れない場合は予約を確定させず、職員の確認を経て折り返す運用にします。発信番号は手がかりの一つとして使い、それだけで本人と見なさない設計にします。
ケアマネジャー・医療機関からの電話
ケアマネジャーや病院の退院支援担当からの電話は、特定の入居予定者や入居者について話すことが多い用件です。AIは所属と氏名、用件の概要、折返し先を聞き取り、相談員へ取り次ぎます。空き状況のように施設全体の情報であれば、施設が更新した範囲でAIが答えることもできます。
個人情報や録音データの扱いを含めた、AI電話の仕組みの全体像はAI電話対応とはで整理しています。
近い業務類型の公表事例
介護施設の電話の一次受付をAIで自動化し、数値まで公表している事例は、現時点で当サイトの導入事例27選には掲載していません。ここでは、業務の構造が近い他業種の事例を挙げます。いずれも介護施設での実績値ではありません。
- 代表電話の一次受け(当社導入事例) — 株式会社宝宮設備様は、1日20〜50件の受電の約9割をAIで完結させています。AIが用件・日程・お名前まで確認してLINE WORKSへ自動通知し、導入から約1週間で任せられる応対精度に達しました。「項目を押さえて聞き取り、現場に通知する」という構造は、介護施設の面会予約や見学受付と同じ型です
- 予約の電話をWebへ誘導(慶應義塾大学病院/IVRy) — 初診予約・変更のコールセンターで一次受付とSMSでの誘導を行い、「予約変更を希望する方の約5割がWebフォームへ移行」「かかってきた電話の4分の1はWebへ誘導」と公表されています。面会や見学の予約をSMSでWebフォームに誘導する設計の参考になります
- 代表電話の取次を減らす(桑名市役所/IVRy) — 代表電話の音声認識による部署の自動振り分けで、「電話の取り次ぎ業務を75%削減」「1日20件…が導入後は5件程度まで減少」と公表されています。相談員・看護・事務への振り分けを代表電話で行っている施設に近い構造です
業務のどこまでを無人にできるかの考え方はコールセンター無人化の現実解で、公表事例の自動完結の幅(34〜96%)とあわせて整理しています。医療機関の予約電話についてはクリニック・歯科向けのページも参考になります。
通知・記録・予約管理との連携
介護施設でAIの一次受付を回すうえで大事なのは、聞き取った内容が、手の空いた職員にすぐ届くことです。連携の形は次の4つが基本になります。
- 職員への通知 — 用件・発信者・連絡先・急ぎかどうかを整理して、LINE WORKS・Slack・メールなど施設で使っているツールへ通知します。急ぎの用件だけ当直の職員に別の経路で知らせる、といった分け方もできます
- 面会・見学の予約管理 — 予約をカレンダーや予約表に記録し、重複しないように枠を管理します。前日に確認の連絡をAIから架けることもできます
- SMSでの案内 — 見学の日時確認、アクセス、資料のダウンロード先をSMSで送り、電話を切ったあとも情報が手元に残るようにします
- 通話の記録 — 録音と全文テキストが残るため、家族からの申し出の内容を職員間で正確に引き継げます。「言った言わない」の確認にも使えます
介護記録のソフトや入居者の管理システムと直接つなぐかどうかは、始めの段階では必須ではありません。通知と予約表だけで始め、運用が固まってから連携を広げる進め方が現実的です。
費用の考え方
AIコールセンターの料金は、月額の基本料に、通話量に応じた従量課金、職員への転送の通話料、SMSの送信料などが加わる形が一般的です。介護施設で見積もるときは、次の点を押さえておくと比較がぶれません。
- 1コール単価で比べる — 基本料・従量・通話料・転送料・SMS料を合計して、月の通話件数で割った単価で比べます。当サイトの費用相場ページでは、月1,000件・平均3分・転送20%・SMS30%という条件のモデルで、1コール約33円になる計算例を示しています。1施設の件数はこれより少ないことが多いため、基本料の比重が大きくなる点に注意してください
- 転送か折返しか — 職員へその場で転送する用件が多いと転送の通話料がかさみます。急ぎでない用件は折返し予約にすると、費用と職員の負担の両方を抑えられます
- 複数施設での利用 — 法人で複数の施設を運営している場合、施設ごとに契約するか、法人の代表窓口として一つにまとめるかで費用の形が変わります
有人の電話一次受けサービスは1件200円前後(公開料金からの換算)が目安で、比較の基準になります。見落とされやすい費目は費用相場ページに、主要サービスの料金体系の違いはAIコールセンター比較20選にまとめています。
導入の進め方(介護施設の場合)
- 電話の棚卸し — 1〜2週間、かかってきた電話の相手と用件を記録します。家族・ケアマネ・見学希望・業者のどれが多いかで、最初に任せる用件が決まります
- 対象用件と線引きの決定 — 面会予約や見学の受付など、定型の用件を2〜3に絞ります。あわせて、AIが答えない内容(入居者の様子・入居の可否・個別の費用)と、緊急時の扱いを決めます
- 通知先と照合の設計 — 用件ごとの通知先、急ぎの基準、面会予約で照合する登録情報を決めます。家族への案内文も用意しておきます
- 夜間・休日から稼働 — 職員の配置が少ない時間帯から置き、受付内容と録音を確認しながら応答を調整します。安定してから日中の一次受けに広げます
代表電話の一次受けに絞れば、大がかりなシステム連携なしで始められます。導入手順の全体像はAIコールセンターの完全ガイドを参照してください。
よくある質問(介護施設)
高齢の家族からの電話でも、AIで対応できますか?
音声で会話する形なので、番号を押して進む音声ガイダンスより操作の負担は小さくなります。聞き取りにくい場合はAIが言い換えたり、ゆっくり復唱したりできます。それでも会話が進まない場合や、職員と話したいという希望があった場合は、担当者への取次や折返しに切り替える設計にしておきます。
入居者の急変や事故の連絡が入ったらどうなりますか?
緊急の連絡だと分かった時点で、聞き取りを最小限にしてすぐに職員へつなぐ設計にします。どのような言葉が出たら緊急として扱うか、どの職員に転送するかは、導入前に施設と一緒に決めます。AIが容体を判断したり、対応を指示したりすることはありません。
家族に入居者の様子を伝えることはできますか?
AIからは伝えません。入居者の健康状態や生活の様子は要配慮個人情報を含むため、AIは入居の有無も含めて答えず、かけてきた方の氏名・続柄・連絡先・用件を聞いて担当職員の折返しにつなぎます。本人確認と情報を伝えるかどうかの判断は、登録情報を確認できる職員が行います。
見学の申し込みや空き状況の問い合わせにも使えますか?
使えます。見学は希望日時・人数・連絡先を聞き取って予約として受け付け、確認のSMSを送れます。空き状況は日々変わるため、施設が更新した情報の範囲で案内し、受け入れの相談は相談員からの折返しにつなぎます。入居を検討している方は複数の施設に連絡していることが多く、つながらないまま終わらせないことが入居の相談の入口になります。
小規模な施設でも導入できますか?
代表電話の一次受けと職員への通知に絞れば、システム連携なしで始められます。件数が少ない施設では基本料の比重が大きくなるため、1コール単価と月額の合計の両方で比較してください。複数の施設を運営する法人では、法人の代表窓口としてまとめる方法もあります。
介護施設の一次受付を、デモで確認してください
面会・見学の予約受付から職員への通知までの流れをデモでご確認いただけます。入居者の情報をAIに答えさせない設定を含めてご案内します。
慶應義塾大学病院・桑名市役所の数値はIVRy公式導入事例にもとづく他社サービスの公表事例で、導入事例27選に出典を記載しています。宝宮設備様の数値は当社導入事例インタビュー(2026年7月27日公開)にもとづきます。1コール約33円は当サイト費用相場ページのモデル試算、34〜96%は公表事例の自動完結の幅です。いずれも介護施設の実績値ではありません。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者です。