2026年8月更新実例データつき一次ソース27事例

AI電話対応とは?
自動応答の仕組み・IVRとの違い・費用と実例

AI電話対応とは、会話型AIが人の代わりに電話に出て(またはかけて)、用件の聞き取りから案内・記録・引き継ぎまでを行う仕組みです。従来の自動応答(IVR)との本質的な違いは、番号を押させるのではなく相手の言葉をそのまま聞き取れること。このページでは、紛らわしい用語の整理、IVR・留守番電話・有人代行との違い、内部の仕組み、企業の公式リリースで原文確認できた実例、費用の考え方、導入の進め方までを一次情報をもとに整理します。

公開日:2026年8月28日|更新日:2026年8月28日|執筆:株式会社Rabona AI 編集部|監修:代表取締役 鳥邉 翔
このページの要点

AI電話対応とは — 紛らわしい用語の整理

AI電話対応とは、音声で会話できるAIが電話応対を担う仕組みの総称です。この分野は呼び名が乱立しており、検討の最初でつまずきやすいので、先に整理します。

呼び名指しているもの
AI電話対応/AI電話自動応答会話型AIによる電話応対の一般的な呼び名。受電(かかってきた電話に出る)を指すことが多い
ボイスボット同じものの製品ジャンル名。ベンダーや比較サイトはこちらを使うことが多い
AIコールセンター受電・架電・SMS送信・CRM連携までを含む、電話窓口全体の自動化を指す広い呼び名
AI電話代行有人の電話代行サービスの置き換えとして語られるときの呼び名。中身はAI電話対応と同じ
IVR(自動音声ガイダンス)別物。「〇〇の方は1を押してください」という番号選択式の従来技術。用件の聞き取りはできない

つまり、明確な定義差があるのはIVRとの間だけです。製品を見分けるときは呼び名ではなく、相手の発話を聞き取って用件を特定できるか受電と架電の両方に対応しているかの2点を確認してください。

IVR・留守番電話・有人代行との違い

電話を「人が出ない」形で受ける方法は、AI以前から存在します。それぞれの構造的な限界と比べると、AI電話対応の位置づけがはっきりします。

方式できること構造的な限界
留守番電話録音を残してもらう対応がその場で完結しない。折り返しの手間はそのまま残り、用件を吹き込まずに切る人も多い
IVR番号選択による振り分け・定型案内用件を聞き取れないため、分岐が深くなるほど途中離脱が増える。「番号を押させる」体験そのものが不満になりやすい
有人の電話代行一次受け・伝言1件ごとに費用がかかり(公開料金からの換算で1件200円前後)、深夜・繁忙期の増枠に限界がある。案内はマニュアルの範囲まで
AI電話対応用件の聞き取り・案内・記録・振り分け・SMS送信までその場で完結謝罪・交渉など判断を伴う対応は完結させるべきではない。住所や漢字氏名の聞き取りはSMS併用が前提

実際の導入判断でも、この差は決め手になっています。当社導入先の宝宮設備様(エアコン工事・給湯器交換)はIVRも検討したうえで、困って電話をかけてきた顧客に番号を押させる形は顧客体験を落とすとして会話型AIを選びました。振り分け先が番号で表現できる窓口ならIVRで足りますが、「エアコンが冷たくならない」「工事のときに忘れ物をしたかもしれない」という自由な言葉から用件を特定する必要があるなら、聞き取りのできるAIが必要になります。

仕組み — AIはどうやって電話に出ているのか

AI電話対応の内部は、大きく4つの処理の連続です。

  1. 音声認識 — 相手の発話をテキストに変換します。電話回線の音質・方言・言いよどみをどこまで正確に拾えるかが製品差になります。
  2. 意図理解 — テキストから用件を特定します。近年のAI電話対応が実用になった最大の理由はここで、大規模言語モデルにより「昨日つけてもらったエアコンが冷えなくて」のような自由な発話から用件を取り出せるようになりました。
  3. 応答生成 — あらかじめ設計した対応フローと照らして、次に話す内容を決めます。案内して完結するか、追加で聞き取るか、人に引き継ぐかの判断もここで行います。
  4. 音声合成 — 応答を音声にして話します。応答までの間(レイテンシ)と、相手が話し始めたときに譲る挙動(割り込み対応)が自然さを決めます。

この4段に加えて、実務では2つの補助経路が重要です。ひとつはSMS併用。住所や漢字氏名のように音声だけでは聞き取りが難しい情報は、通話中にSMSでフォームを送って入力してもらう設計が事実上の前提です(東京ガスはこの設計で繁忙期のAI対応完了率最大96%を達成しています)。もうひとつは有人への引き継ぎで、AIが完結させるべきでない用件を検知したら、聞き取った内容ごと担当者へ転送・通知します。相手が最初から説明し直す必要をなくせるかが設計の質です。

より詳しい技術面の解説(日本語特有の難所、会話の間の研究データなど)はAIコールセンター完全ガイドにまとめています。

できること・任せるべきでないこと

受電(かかってきた電話に出る)

架電(電話をかける)

任せるべきでないこと

謝罪や補償の判断を伴うクレーム対応、交渉、個別の例外判断はAIで完結させるべきではありません。これらは一次受けとして状況を正確に聞き取り、記録して人に渡すところまでに役割を絞ります。医療判断・法律相談・行政判断のように資格や権限が必要な領域も同様です。この線引きを最初に決めておくことが、導入後のトラブルを防ぐ最も効果的な方法です。

実例 — 公表数値と当社導入先の実測

企業の公式リリースやベンダーの公式導入事例ページで原文を確認できた数値に限ると、AI電話対応の実勢はこうなります。

企業業務公表されている成果(原文)
東京ガス引越しに伴う手続き受付(音声+SMS併用)「2024年3月の繁忙期にはAI対応完了率が最大96%を達成」(平均88%)
東急社宅マネジメント社宅6.9万戸・全14回線の一次受付(年約10万着電)「一次受付の90%超の自動化」「月間800時間超削減
北陸コカ・コーラボトリング夜間コールセンターの応対「夜間応対の100%無人化」「AI対応での途中離脱は0件
JCB加盟店デスク(月約1万件)のFAQ一次応対自動化率43%を達成し…月間約500時間の業務時間を創出」
桑名市役所代表電話の部署自動振り分け「電話の取り次ぎ業務を75%削減

確認できた27事例の全体では、自動完結・自動化率が34〜96%、呼量・工数の削減が20〜75%という幅です。幅を決めているのは対象業務の絞り方で、用件のパターンが安定しているほど数字は上がります。全リストは導入事例27選にまとめています。

当社導入先の実測:株式会社宝宮設備様

当社サービスの導入事例のため、公表リリースには載らない運用の内側までお伝えできます。神奈川県厚木市でエアコン工事・給湯器交換を手がける宝宮設備様では、設置後フォローの受電が1日20〜50件。このうち約9割をAIが案内まで完結し、人が対応するのは緊急性が高いものと判断が必要な約1割だけです。設置日確認の架電(多い日で1日10件)は、不在時に留守番電話へメッセージを残すところまで自動化。聞き取った用件・工事日・氏名はLINE WORKSに自動通知され、録音と全文テキストが残るため、「AIに任せると状況が見えなくなる」という導入前の不安は起きていません。任せられる精度に到達するまでは約1週間、削減できた工数は数百時間規模でした。詳細は宝宮設備様の導入事例で、代表インタビューと実際の通話フローを公開しています。

費用の考え方

2026年8月に主要20サービスの公式サイトを調査した結果、料金の実額を公開していたのは8件(40%)。電話応対を主軸とする国内8サービスに限ると、公式に月額を公開しているのは2件だけでした。つまり相場を一つの数字で示すことはできず、比較の作法が重要になります。

20サービスの料金公開状況の全データと、見落とされやすい費目の一覧は費用相場の調査ページで公開しています。

導入の進め方

  1. 入電の実測 — 直近1か月の電話を用件別に数え、定型で終わる用件が何割かを把握する。この作業を省くと「思ったより減らない」で終わる
  2. 範囲の決定 — 夜間・時間外だけ、一次受付だけ、のように小さく始める範囲を決める。営業時間外はもともと誰も出ていないため、失敗しても失うものがない
  3. デモで体感確認 — カタログではわからない応答の間・割り込みの挙動を、言い直しや相槌を含む実際の話し方で試す
  4. 対応フローの設計 — 完結させる用件、人に引き継ぐ用件、SMSを併用する場面を決める
  5. 本番後の調整 — 通話ログを見ながら聞き取りと分岐を直す。宝宮設備様では約1週間で任せられる精度に到達した

選び方の7つの観点(受電・架電両対応か、SMS送信ができるか、CRM連携方式など)は完全ガイドの選び方の章で詳しく解説しています。

よくある質問

AI電話対応とボイスボットの違いは何ですか?
同じものです。会話型AIが電話応対を担う仕組みを、一般には「AI電話対応」「AI電話自動応答」、製品ジャンルとしては「ボイスボット」、電話窓口全体の自動化まで含めると「AIコールセンター」と呼びます。明確な定義差があるのはIVR(番号選択式の自動音声ガイダンス)との間だけで、IVRは用件の聞き取りができません。呼び名ではなく、聞き取りができるか、受電と架電の両方に対応しているかで製品を見分けてください。
かかってきた電話の何割くらいをAIだけで対応できますか?
一次ソースで確認できた27事例の実勢は、自動完結・自動化率で34〜96%です。用件が定型化した業務ほど高く、東急社宅マネジメントの一次受付90%超、東京ガスの繁忙期最大96%が上限側の実例です。当社導入先の宝宮設備様では、設置後フォロー受電の約9割をAIが完結し、人が対応するのは緊急・要判断の約1割です。率は対象業務の絞り方で決まるため、まず自社の入電のうち定型で終わる用件が何割かを実測することをおすすめします。
AI電話対応の費用はどのくらいかかりますか?
主要20サービスのうち公式サイトで実額を公開しているのは8件で、相場を一つの数字では示せません。公開価格がある中小企業向けの層は月額0円〜1万円台に従量課金を加えた構成です。比較するときは基本料ではなく、通話料・転送料・SMS送信料を含めた1コールあたりの総額で揃えてください。効果側は有人1席あたり月額約25万円(時給1,484円×160時間+CTI席料)が基準になります。
導入までどのくらいの期間がかかりますか?
対応範囲によります。定型用件が中心の窓口なら短く、当社導入先の宝宮設備様では運用開始から約1週間で任せられる精度に到達しました。一方、本人確認や基幹システム連携を伴う大規模窓口では要件定義に時間がかかります。小さく始めて通話ログを見ながら範囲を広げる進め方が、期間とリスクの両方を抑えます。
今の電話番号のまま使えますか?
多くのサービスは、既存番号からの転送設定で導入でき、顧客に案内している番号を変えずに使えます。夜間だけ・話し中だけAIに転送するといった条件付きの転送から始めることもできます。対応する転送方式や新規番号の要否は製品によって異なるため、検討時に「現在の番号のまま、どの範囲をAIに回せるか」を確認項目に入れてください。
電話をかける側(架電)も自動化できますか?
受電・架電の両方に対応した製品なら可能です。宝宮設備様では設置日確認の架電(多い日で1日10件)を自動化し、相手が不在の場合は留守番電話にメッセージを残すところまでAIが行っています。かけ直しを繰り返す確認連絡やリマインドは、架電自動化の効果が最も見えやすい業務です。ただし受電専用の製品も多いため、両対応かどうかは最初に確認してください。

まとめ:呼び名ではなく「聞き取れるか」で選ぶ

AI電話対応について、このページの要点を整理します。

自社の電話は、どこまでAIに任せられるか

Rabona AI のAIコールセンターは、受電・架電の両方に対応し、通話中のSMS送信・CRM連携・有人への引き継ぎまでを一連のフローとして設計できます。導入事例では、受電の約9割をAIが案内まで完結させ、約1週間で任せられる精度に到達しています。直近1か月の入電を用件別に数えるところから、自動化できる範囲の試算をお手伝いします。

本ページで参照した出典

記載内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。事例の数値は各社が公表した原文の表現を引用しています。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者であり、本ページには自社サービスの案内を含みます。

この記事の監修者
鳥邉 翔(株式会社Rabona AI 代表取締役)

電話業務のAI自動化を手がける株式会社Rabona AIの代表取締役。AIによる電話の受電・架電サービス「AIコールセンター」「AIテレアポ Rabona AI」などの音声AIプロダクトの開発・提供を統括している。本サイトの記事は、公開されている一次ソース(各社公式サイト・公式プレスリリース・公的統計)にもとづき編集部が執筆し、音声AIの開発・運用実務の観点から監修している。