2026年9月公開対策と残る課題中小企業・店舗向け

AI電話対応のデメリットと対策
電話をかけてくる人と、受ける側に起きること

AI電話対応(AI電話自動応答)を代表電話や店舗の電話に入れると、便利になる一方で、聞き取りの誤り、固有名詞の取り違え、高齢の方や感情的になっている方への対応、切り替え直後の運用の手間など、実際に困ることも起きます。このページでは、AIの電話対応を提供している当社の立場から、よく起きるデメリットを一つずつ「何が起きるか」「どう対策するか」「対策しても残ること」の3段で整理します。誇張も過小評価もせず、導入するかどうかを判断できる材料にしてください。

公開日:2026年9月23日|更新日:2026年9月23日|執筆:株式会社Rabona AI 編集部|監修:代表取締役 鳥邉 翔
このページの要点

このページの対象と、全体像

このページは、1拠点の代表電話・店舗・小さな事務所の電話をAIで受ける場合に、電話をかけてくる人の側と、受ける会社の側で起きるデメリットを扱います。数十席規模のコールセンターで問題になる自動化率の上限、応答の「間」、料金の不透明さ、個人情報の管理項目は、AIコールセンターのデメリット8つと対処法で詳しく整理しています。

小規模の電話では、専任のオペレーターがいないため、AIが受けたあとの対応を担うのは接客中・作業中のスタッフや経営者本人です。その分、AIの弱点を人がすぐ補えない場面が多くなります。先に全体を一覧で示します。

デメリット起きること主な対策それでも残ること
1. 聞き取りを誤る雑音・電波・早口・言い直しで内容を取り違える重要項目の復唱、聞き返しの回数に上限復唱に「はい」と答えられた誤り
2. 固有名詞を取り違える人名・社名・商品名・地名の表記を誤るよく出る名前の登録、SMSでの入力初めて出てくる名前の表記
3. 高齢の方がうまく話せない話し出しの遅れ、長い前置き、AIと気づかない短い質問、ゆっくりした話し方、人への経路SMSを受け取れない人がいる
4. 感情的な相手・急ぐ相手AIの応対自体が不満を強める強い言葉や緊急の用件を検知して人へ人がすぐ出られない時間帯の不満
5. 複雑な用件・想定外の用件用件が2つ以上、前例のない相談で止まる用件の要約と記録に役割を絞るその場で解決しない電話の割合
6. かけてきた人の心証AIだとわかって切る、常連・取引先が戸惑う冒頭の名乗り、取引先の番号は直通機械と話したくない人の一定割合
7. 切り替え時の運用の負担通知の確認、折り返し、設定の見直しが発生受け手と期限を決める、最初の2週間はログ確認折り返しの責任は人に残る
8. 行き場がないとき転送先が出ない、サービスや回線の障害留守番電話・折り返し受付への切り替えその場で話せないことへの不満

1. 聞き取りを誤る

起きること

電話の音声は、対面や会議用マイクより音質が悪く、屋外や車内からの電話では雑音や電波の途切れも入ります。早口、語尾の言いよどみ、「火曜、いや水曜で」のような言い直しが重なると、AIが日付や数字を取り違えることがあります。特に困るのは、取り違えたまま手続きが進むことです。予約の日付や時間、折り返し先の電話番号を誤ると、相手にも自社にも実害が出ます。

対策

それでも残ること

復唱に対して相手が内容をよく聞かずに「はい」と答えると、誤りはそのまま通ります。これは人が電話を受けても起きることですが、AIでもゼロにはなりません。予約など後から問題になる手続きは、SMSやメールで確認内容を送り、相手の目で見て確かめてもらうところまで設計しておくと、残る誤りを減らせます。

2. 固有名詞を取り違える

起きること

人名・会社名・商品名・地名は、音声認識が最もつまずく部分です。同じ読みに複数の漢字がある名前、社内でしか使わない商品の略称、地域の地名や建物名は、音だけでは正しい表記を決められません。東京ガスは、契約者名(漢字)や建物名の正確な聞き取りが壁になり、数年にわたって音声ボットの導入に至らなかったと公表しています。

対策

それでも残ること

初めて電話をかけてきた人の名前や、登録していない商品名は、辞書では救えません。表記が重要な手続き(契約・発送先など)は、音声だけで確定させない設計を前提にしてください。住所・漢字氏名の聞き取りについてはAIコールセンターのデメリット「住所・漢字氏名の聞き取りが苦手」でも詳しく扱っています。

3. 高齢の方がうまく話せない

起きること

高齢の方からの電話では、話し始めるまでに間がある、用件の前に長い前置きがある、AIの質問にかぶせて話してしまう、といったことが起きやすくなります。相手がAIだと気づかずに話し続け、AIの質問に答えないまま通話が進むこともあります。聞こえにくさから、AIの案内を聞き取れない場合もあります。

対策

それでも残ること

SMSを使った入力は、スマートフォンを持っていない人には使えません。総務省の令和6年通信利用動向調査では、個人のスマートフォン保有率は80.5%で、80歳以上ではモバイル端末(携帯電話・スマートフォン)を持っていない人の割合が2割を超えています。高齢の利用者が多い窓口(介護・医療・地域の店舗など)では、SMSに頼らない経路として、人からの折り返しを必ず残してください。業種ごとの考え方は介護施設クリニック・歯科のページで扱っています。

4. 感情的な相手・急いでいる相手

起きること

苦情の電話や、設備の故障・事故のように急いでいる人の電話では、AIが出たこと自体が不満の種になります。怒っている相手にAIが決まった順番で質問を続けると、さらに怒らせてしまいます。謝罪や補償の判断を求められても、AIには答える権限がありません。

対策

それでも残ること

夜間や休日など、人がすぐに出られない時間帯の感情的な電話は、AIが受けても不満はある程度残ります。それでも、誰も出ずに留守番電話になるよりは、用件を聞いて折り返しの時間を伝えられる分だけ状況は良くなります。一方で、電話の多くが苦情や交渉という窓口では、AIを入れる効果よりデメリットが上回ります(後述)。

5. 複雑な用件・想定外の用件

起きること

1本の電話に用件が2つ以上ある(予約の変更と、前回の支払いの問い合わせ)、前例のない相談、事情の説明が長い相談では、AIが用件を1つしか拾わなかったり、どの案内にも当てはまらず同じ質問を繰り返したりします。小さな会社の代表電話は、用件の種類が多く、1件ごとの中身も幅があるため、この問題が起きやすくなります。

対策

それでも残ること

一次ソースで確認できた導入事例でも、AIの自動完結・自動化率は34〜96%と幅があり、すべての電話が完結するわけではありません。AIが完結できなかった電話は、用件を聞き取った状態で人に回ることになります。その割合は窓口の用件の性質で決まり、設定の工夫だけでは超えられない部分があります。

6. かけてきた人の心証

起きること

AIが出たとわかった瞬間に電話を切る人はいます。長く付き合っている常連客や取引先からは「いつもの人が出ない」「冷たくなった」と受け取られることもあります。従来の番号選択式の自動音声(IVR)が嫌われてきたのと同じ構図で、当社導入先の宝宮設備様も、困って電話をかけてきた顧客に番号を押させる形は顧客体験を落とすとして、IVRを見送り会話型のAIを選んでいます。

対策

それでも残ること

機械と話したくないという人は、どれだけ品質が上がっても一定数います。その人たちにとっては、AIが出ること自体がマイナスです。ただ、比べる相手は「いつでも人が出る状態」ではなく、多くの場合「誰も出ない」「留守番電話になる」状態です。自社の電話がどちらに近いかで、このデメリットの重さは変わります。

7. 切り替え時の運用の負担

起きること

AIを入れると電話に出る手間は減りますが、代わりに新しい作業が生まれます。AIからの通知を確認する、折り返す、案内文や分岐を直す、といった作業です。特に小さな会社では、通知が来ても誰も見ていない、誰が折り返すか決まっていないという状態になりやすく、電話に出ていた頃より対応が遅れることがあります。導入直後は、AIの聞き取りや分岐が業務に合っていない部分も見つかります。

対策

それでも残ること

AIが受けた電話への折り返しや、AIでは完結しない用件への対応は、人の仕事として残ります。「電話対応がなくなる」のではなく、「電話に出る仕事が、記録を見て対応する仕事に変わる」と考えてください。設定の見直しも導入後ずっと続きます。この作業を自社で行うのか、提供会社が手伝ってくれるのかは、料金とあわせて確認が必要です(AI電話対応の料金・費用相場)。

8. 担当者につながらないとき・障害時の行き場

起きること

AIが人に転送しても、担当者が接客中や外出中で出られないことがあります。少人数の会社では転送先が1〜2人しかおらず、この状態が頻繁に起きます。また、AI電話サービスや電話回線に障害が起きると、電話そのものを受けられなくなるおそれがあります。

対策

それでも残ること

その場で人と話したかった相手にとって、折り返しを待つことは不満として残ります。緊急性の高い用件(設備の故障、医療の相談など)が多い窓口では、夜間の緊急連絡を誰が受けるかを決めずにAIを入れるべきではありません。

AI電話を入れないほうがよい窓口

ここまでの対策を講じても、デメリットがメリットを上回る窓口があります。導入を見送る、または範囲を夜間だけに絞るほうがよいケースです。

窓口の特徴理由
電話の大半が苦情・交渉・謝罪AIが答えられる部分がほとんどなく、AIが出ること自体が相手の不満を強める
電話の大半が毎回違う個別相談完結できる用件が少なく、すべてが折り返しになる。記録の手間だけが増える
高齢の方が中心で、人の折り返し体制がないSMSが使えない人が多く、AIで聞き取れなかった分を補う手段がない
電話が月に数件しかない設定と見直しの手間に対して効果が小さい。留守番電話や転送で足りる
緊急連絡の受け手を決められないAIが緊急の電話を受けても、渡す先がない

反対に、営業時間・場所・予約など答えが決まっている用件が多い窓口、接客や作業で電話に出られない時間が長い窓口、営業時間外の電話を取りこぼしている窓口では、ここで挙げたデメリットは対策で十分に小さくできます。番号選択式の自動音声で足りるかどうかの判断はIVRとの違いと置き換え判断、業種ごとの向き不向きはAI電話対応の「業種別の使われ方」をご覧ください。

よくある質問

AI電話対応の一番のデメリットは何ですか?
代表電話や店舗の規模では、AIが受けた電話への折り返しが遅れることが最も実害につながりやすい点です。AIは用件を聞き取って記録するところまでは得意ですが、その後に人が対応しなければ、電話に出ていた頃より対応が遅れます。通知の受け手と折り返しの期限を、導入前に決めておくことが最も効果的な対策です。聞き取りの誤りや固有名詞の取り違えは、復唱とSMSの併用で大きく減らせます。
AIが聞き間違えた場合はどうなりますか?
日付や電話番号などの重要な項目は復唱して確かめる設計にしておけば、多くはその場で修正されます。それでも相手がよく聞かずに「はい」と答えた場合は、誤りが残ります。予約など後から問題になる手続きは、SMSやメールで確認内容を送ると、相手の目で確かめてもらえます。通話の録音と文字起こしが残る製品なら、後から内容を確認して訂正することもできます。
高齢のお客様が多くても使えますか?
使えますが、設計に配慮が必要です。質問を短く1つずつにする、話し始めを待つ時間を長めにとる、人につながる経路を冒頭近くで案内する、といった工夫で話しやすくなります。ただしSMSでの入力は、スマートフォンを持っていない人には使えません。総務省の令和6年通信利用動向調査では、80歳以上でモバイル端末を持っていない人の割合が2割を超えています。人からの折り返しを必ず残してください。
AIが出ると電話を切られてしまいませんか?
一定数は切られます。これは対策してもゼロにはなりません。冒頭で会社名とAIが用件を伺うことを伝える、取引先や常連の番号は担当者に直接つなぐ、営業時間外や接客中だけAIに回す、といった形で影響を小さくできます。比べる相手は「いつでも人が出る状態」ではなく、多くの場合「誰も出ない」「留守番電話になる」状態である点も判断材料にしてください。
クレームの電話もAIに任せられますか?
完結させることはおすすめしません。謝罪や補償の判断はAIに任せず、状況を正確に聞き取って担当者に渡すところまでに役割を絞ります。強い言葉や緊急の用件を検知したら質問を打ち切って人に回す分岐を作り、AIが守れない約束をしないよう、言ってよいことを事前に決めておきます。電話の大半がクレームや交渉という窓口では、AIの導入自体を見送るほうがよい場合があります。
導入すると社内の手間は増えますか?
電話に出る手間は減りますが、通知の確認、折り返し、設定の見直しという新しい作業が生まれます。特に導入直後の2週間程度は、通話ログを見て聞き取れなかった言い方や転送が多い用件を直す作業が必要です。当社導入先の宝宮設備様では約1週間で任せられる精度に到達し、受電の約9割をAIが案内まで完結させています。設定の見直しを自社で行うか、提供会社が手伝うかは契約前に確認してください。
AI電話サービスが止まったら電話はどうなりますか?
使い方によって変わります。今の番号から転送して使っている場合は、転送を解除すれば元の電話機で受けられるので、切り替え手順を事前に確認しておくと安心です。AIサービスで取得した番号を使っている場合は、障害時の動き(留守番電話への切り替えなど)と、障害情報の告知先を提供会社に確認してください。
AIコールセンターのデメリットとは何が違いますか?
このページは、1拠点の代表電話や店舗の電話をAIで受けるときに、電話をかけてくる人と受ける会社の側で起きることを扱っています。数十席規模のコールセンターを置き換える検討で問題になる、自動化率の上限、応答の間、料金の不透明さ、個人情報の管理項目は、当サイトの「AIコールセンターのデメリット8つと対処法」で詳しく解説しています。

まとめ:デメリットは「人の出番」を決めておけば小さくなる

AI電話対応の仕組みと実例はAI電話対応、規模別の費用はAI電話対応の料金・費用相場にまとめています。

自社の電話でどんなデメリットが出るか、一緒に確かめます

Rabona AI のAIコールセンターは、受電・架電の両方に対応し、重要項目の復唱、通話中のSMS送信、有人への引き継ぎ、チャットツールへの通知までを一連のフローとして設計できます。直近1か月の電話の内訳を伺い、AIで完結できる範囲と人に残る対応を具体的にお示しします。

本ページで参照した出典

記載内容は2026年9月時点の公開情報にもとづきます。デメリットの記述は特定の他社製品への評価ではなく、音声AIによる電話対応に共通する制約の整理です。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者であり、本ページには自社サービスの案内を含みます。

この記事の監修者
鳥邉 翔(株式会社Rabona AI 代表取締役)

電話業務のAI自動化を手がける株式会社Rabona AIの代表取締役。AIによる電話の受電・架電サービス「AIコールセンター」「AIテレアポ Rabona AI」などの音声AIプロダクトの開発・提供を統括している。本サイトの記事は、公開されている一次ソース(各社公式サイト・公式プレスリリース・公的統計)にもとづき編集部が執筆し、音声AIの開発・運用実務の観点から監修している。