抱えていた課題
株式会社ZAP(ZAP TRANSPORT)は、大阪府堺市に本社を置く軽貨物の配送会社です。宅配便・スポット便・ルート便から企業専用便、長距離配送、倉庫保管の3PLサービスまで手がけ、大阪の泉大津倉庫と埼玉の入間倉庫を拠点に、電動アシスト自転車をはじめとする商品の配送と組立を行っています。お客様のご自宅へ商品をお届けする仕事では、事前に配達日をご連絡し、ご都合を確認する電話が欠かせません。ただ、この電話が地味に重い業務でした。かけても一度でつながるとは限らず、つながらなければかけ直しになる。ご都合が悪ければ希望日を伺い、それを配車に反映する。倉庫での積み込みや伝票の処理など他の作業がある中で、電話のたびに手が止まってしまう状態でした。もう一つの課題が折り返しです。お客様は着信を見て折り返してくださるのですが、その電話を受けるのは配達中のドライバーです。運転中や納品中には出られませんし、出られたとしても落ち着いて話せる状況ではない。お客様をお待たせしてしまい、顧客対応の品質が下がってしまうことが気がかりでした。
Rabona AI を導入したきっかけ
検討の出発点は、ドライバーが手動で行っていた配達日の調整電話を、そのままAIの自動架電に置き換えられないか、というものでした。配達日を伝え、ご都合を聞き、難しければ代案を提案する。会話の流れは決まっているので、AIに任せられる余地は大きいと感じていました。一方で気になっていたのは、誤った案内をしてしまうリスクです。ここは、通話がすべて録音され全文テキストで残ること、AIが判断できないケースは担当者へ引き継ぐ流れを最初から組み込めることを確認して、任せる判断をしました。配達先のリストはCSVで取り込むだけで、配達日や時間帯といった項目も一緒に読み込んでAIが会話の中で使ってくれます。いきなり全拠点で切り替えるのではなく、大阪拠点で先行して運用を始め、実際の通話を確認しながら会話の細部を調整したうえで、埼玉拠点へ広げる進め方をとりました。運用開始後も、曜日だけで答えられたときの日付の認識や、時間帯の読み上げ方など、実際の通話で気づいた点を Rabona AI 側と一緒に調整しています。
活用方法 ── 架電
現在の架電の流れはこうです。Rabona AI がお客様に電話をかけ、ご注文いただいた商品の配達予定日をご案内します。その日で問題なければ、そのままお届けです。ご都合が悪い場合は、ご不在でもお受け取りいただけるよう、玄関先などへの置き配をご提案します。置き配で良ければ、配達員が迷わないように、お車の色や外壁の色といった目印まで伺います。置き配も難しい場合は、配達予定日以降でご都合のよい日を、一つずつ最大三つまでお聞きします。ここでAIが日程を確約することはありません。伺った希望日は担当者に引き継がれ、配車の状況を見て人が確定のご連絡をします。この流れにしたことで、AIが勝手に約束してしまう心配がなく、人は「かけ直し」ではなく「調整」だけに時間を使えるようになりました。通話の結果は、配達日の確定・置き配・希望日・不在といったラベルで整理され、担当者の Chatwork へリアルタイムに通知されます。配達日が確定した案内も同じように届くので、担当者はチャットを見るだけで状況を把握できます。
配達日連絡の架電フロー。配達日の案内から置き配の提案、希望日の聞き取りまでをAIが担い、日程の確定だけを担当者が行う。
活用方法 ── 不在と折り返し
電話に出ていただけなかったお客様への対応も、AIが引き受けています。不在の場合は留守番電話に配達日のご連絡である旨のメッセージを残し、時間を変えて自動で再架電します。人がかけ直しの回数や時間を管理する必要はありません。そして、留守番電話を聞いたお客様からの折り返しも Rabona AI が受電します。折り返しの電話に対して、受電AIが配達予定日をご案内し、ご都合が悪ければ希望日や時間帯、置き配の可否を架電と同じ流れで聞き取ります。以前はこの折り返しが配達中のドライバーに入っていましたが、いまはドライバーが電話に出る必要がなくなり、運転と納品に集中できています。お客様側も、配達中で出られない相手にかけ直す手間がなくなりました。受電の内容も架電と同じく Chatwork に通知され、録音と全文テキストが残ります。
折り返し電話の受電フロー。配達中のドライバーが電話に出る必要がなくなり、内容は Chatwork へ通知される。
導入後の効果と今後の展望
導入してみて、配達日に関する電話対応は約8割を削減できました。確認の電話をかける、つながらなければかけ直す、折り返しに出る、希望日を聞いて伝える。この一連の作業がAIに置き換わり、人が関わるのは希望日をもとに配車を確定する部分だけになっています。取締役代表の松岡秀樹からは「いざ入れてみたら、これはもう素晴らしい」という言葉をもらっています。大阪拠点で先行して運用を始め、埼玉拠点にも広げたことで、2拠点で同じ仕組みを使えるようになりました。今後の希望としては、希望日の聞き取りをもう一段進めたいと考えています。担当者ごとのカレンダーや配送ルートを分析したうえで、お客様ごとに伺った時間帯をそのままカレンダーに追加できるようになれば、確定の連絡まで含めてさらに手間が減るはずです。この点は Rabona AI 側でも現在開発を進めているとのことで、実装を楽しみにしています。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 配達日の確認電話 | 人がかけ、つながらなければかけ直す。そのたびに他の作業が止まる | AIが架電。配達日の案内、置き配の提案、希望日の聞き取りまで完了 |
| 不在のお客様 | かけ直しの回数と時間を人が管理 | 留守番電話にメッセージを残し、時間を変えて自動で再架電 |
| 折り返しの電話 | 配達中のドライバーに入り、出られない。出ても落ち着いて話せない | 受電AIが一次対応。配達日の案内や希望日の聞き取りを架電と同じ流れで行う |
| 日程の確定 | 電話の中で人が調整 | AIは確約せず希望日を最大3つ聞き取り、担当者が配車を見て確定 |
| 記録と共有 | ドライバーや担当者の記憶とメモに依存 | 結果をラベルで整理してChatworkへリアルタイム通知。録音と全文テキストが残る |
| 電話対応の量 | 大阪・埼玉の2拠点で同じ業務を人が繰り返す | 約8割を削減。ドライバーは配達に集中 |
当サイトでは、公式リリースで原文を確認できたAIコールセンターの導入事例を導入事例27選にまとめています。そのなかにこの事例を置くと、位置づけがはっきりします。
配達日の確認電話は「かける」業務ですが、実際に現場を圧迫していたのは、着信を見たお客様からの折り返しでした。架電だけを自動化しても、折り返しは配達中のドライバーに入り続けます。この事例では、留守番電話を聞いたお客様の折り返しを受電AIが受け止め、架電と同じ流れで配達日の案内や希望日の聞き取りを行っています。架電と受電が同じ窓口でつながっていることが、ドライバーが電話に出なくてよい状態をつくっています。
日程変更の希望が出たとき、AIがその場で日程を確定させると、配車の実態と食い違うリスクが生まれます。この事例では、AIは希望日を最大3つ聞き取るところまでを担い、確定は担当者が配車を見て行います。誤案内の心配が小さくなるぶん、AIに任せる範囲を広げやすくなります。日程調整を伴う架電では、AIが確約する範囲を最初に決めておくことが検討の要点です。
配達日の都合が悪いお客様に対して、すぐ希望日を聞くのではなく、まず置き配を提案し、置き配なら目印まで確認する。置き配も難しい場合に初めて希望日を聞き取る。この順番によって、再配達にならずに済む件数が増えます。確認電話をAIに任せるときは、断られた場合の代案を会話の流れに入れておくと、通話1回あたりの解決率が上がります。
大阪拠点で先行して運用し、曜日だけで答えられたときの日付の認識や時間帯の読み上げといった細部を実際の通話で調整したうえで、埼玉拠点へ広げています。会話の細部は実運用でしか分からないため、複数拠点の会社では最初の拠点で会話を固め、同じ設定を横展開する進め方が現実的です。
同じ業種で検討される場合、次の4点を確認すると判断しやすくなります。
費用の考え方はAIコールセンターの費用相場に、配送・設置工事向けの設計は配送・設置工事のAIコールセンターにまとめています。
本ページは、株式会社ZAP様への導入事例インタビュー(2026年9月25日公開)をもとに、AIコールセンターの導入検討という観点で再構成したものです。記載している数値および発言は同インタビューの内容にもとづきます。掲載にあたっては同社の許諾を得ています。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者です。