WISMO(ウィズモ)は "Where Is My Order?"(私の注文はどこ?)の頭文字で、ECの顧客対応でもっとも多い「配送状況の問い合わせ」を指す言葉です。日本のEC・通販の現場で「配送確認の電話」「荷物どこ電話」と呼ばれてきたものと同じで、海外のECサポート業界では問い合わせ削減のKPIとして定着しています。この記事では、WISMOの定義、発生量のデータ、電話のWISMOが残り続ける構造、そして通知・追跡ページ・SMS・AI電話応答による4段階の削減策を、EC・通販事業者のCS責任者向けに整理します。
WISMO(ウィズモ)とは、"Where Is My Order?"(私の注文はどこ?)の頭文字をとった略語で、EC・通販における「注文した商品が今どこにあるのか」「いつ届くのか」という配送状況の問い合わせを指します。海外のECカスタマーサポート業界では、問い合わせ分類とKPI設計の標準用語として使われています。
日本のEC・通販の現場に、この問い合わせが存在しなかったわけではありません。むしろ昔からあります。「配送確認の入電」「荷物どこ電話」「お届け日の問い合わせ」——呼び名がばらばらだっただけで、中身はWISMOそのものです。用語として束ねる意味は、この問い合わせ群を1つのカテゴリとして計測し、まとめて削減するという発想にあります。個別の電話として受けている限り「仕方のない業務」に見えますが、カテゴリとして数えると、CS工数の最大の塊が定型問い合わせであることが見えてきます。
関連語として、返金の所在を尋ねる WISMR("Where Is My Refund?") もあります。返品・返金の進捗問い合わせで、WISMOと並んで定型性が高いカテゴリです。本記事はWISMOを中心に扱いますが、削減の考え方はほぼ共通です。
WISMOの発生量については、海外のEC支援事業者が実測データを公表しています。日本語の公開統計はまだほとんどありませんが、構造は日本のECでも変わりません。
| データ | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 問い合わせの平均18% | 1万2,000超のECブランドが利用するヘルプデスクGorgiasは、WISMOを「ECでもっとも多い問い合わせで、受信リクエストの平均18%を占める」と公表しています | Gorgias(公式ブログ) |
| 購入後の不安は3人に2人 | 配送体験プラットフォームNarvarの「2025 State of Post-Purchase Report」(米国の消費者3,461人調査)では、消費者の3分の2が購入ボタンを押した後に不安を感じると回答。また86%が配送トラブルの経験があると回答しています | Narvar(2025年11月) |
| 市場は拡大し続けている | 経済産業省の令和6年度電子商取引市場調査(2025年8月発表)では、日本のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、物販のEC化率は9.78%。注文件数が増えれば、一定割合で発生するWISMOも比例して増えます | 経済産業省(2025年8月) |
重要なのは18%という比率そのものより、「最多カテゴリなのに、顧客は対話に価値を感じていない」という性質です。WISMOの顧客が求めているのは「◯日に届きます」という一文の答えだけで、オペレーターとの会話を望んでいるわけではありません。答えは注文管理システムに必ず入っています。つまり、1件あたりの価値が低く、件数が最多で、答えがシステムに存在する——自動化の優先順位が構造的に最も高い問い合わせです。
なお、海外の記事では「WISMOは問い合わせの30〜50%」といったさらに大きい数字も見かけますが、当社で一次ソースを確認できた公表値はGorgiasの平均18%です。自社の比率は推定に頼らず、直近1か月の入電を用件別に数えて実測することをおすすめします。取扱商材や配送リードタイムによって、比率は大きく変わります。
発送通知メールを送り、追跡番号を案内し、FAQを整備しても、WISMOの電話は残ります。理由は単純で、電話をかけてくるのは、それらのWeb施策で自己解決しなかった(できなかった)層だからです。
放置したときのコストも、応対工数だけでは済みません。つながらない電話は同じ顧客からの再入電を生み、入電がさらに膨らみます。「問い合わせたのにつながらなかった」体験はレビューや解約理由に直結し、繁忙期には配送確認の電話が回線を塞いで、本来取るべき注文の電話まで取りこぼします。WISMOの負は「CS部門の忙しさ」ではなく、売上とLTVの問題として扱うのが正確です。
ここから導かれる設計原則は、「Web側の施策」と「電話側の施策」は別物として両方やる、です。チャットボットや追跡ページはWISMOの総量を減らしますが、電話をかけてくる層には構造的に届きません。電話のWISMOには、電話のまま自動化する打ち手が必要です。
対策は「発生を減らす」施策(1・2)と「来た電話を軽くする」施策(3・4)の二層に分かれます。順番に積み上げるのが定石です。
AI電話応答(AIコールセンター)でのWISMO応対は、次のフローになります。プッシュ操作で分岐する従来型IVRと違い、顧客は「先週注文したサプリがまだ届かなくて」のような自由な話し言葉で話すだけです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 注文の特定 | 発信者番号・注文番号・氏名などから注文を特定します。番号を押させる操作はありません |
| 2. 配送状況の照会 | カート・注文管理システム(OMS)・CRMをAPI連携でその場で照会し、発送状況とお届け予定日を取得します |
| 3. 回答とSMS送付 | 「◯日にお届け予定です」を音声で案内し、あわせて追跡リンクを通話中にSMSで送ります |
| 4. 例外の取次 | 配送事故・長期遅延・住所変更を伴う対応など、判断や謝罪が必要なケースは、聞き取った内容を引き継いだうえで担当者へつなぎます。録音と全文テキストが残ります |
4段階のどこまでやるかは、電話の残り方で決めます。目安として、入電のうちWISMOが2割前後を占めるなら、段階4(AI電話応答)まで含めた設計が投資に見合います。通知と追跡ページだけで電話が十分減る事業者もいれば、顧客層の関係でWeb施策がほぼ効かない事業者もあり、後者ほど電話側の自動化の効果が大きくなります。
実例もあります。木製品を扱う通販事業者の谷治新太郎商店では、AI電話応答サービス(IVRy)の導入により、月300件の問い合わせのうち約9割の電話を自動化したとベンダー公式事例で公表されています。問い合わせの中心が定型である通販の電話は、実務でこの水準まで自動化が届いています。
一方で、AIで完結させるべきでない領域もあります。配送事故のお詫びと補償の判断、破損・誤配送への対応方針の決定は人の仕事です。AIの役割は、その手前の「注文の特定と状況の聞き取り」までを済ませ、人が判断だけに集中できる状態を作ることです。全部をAIにする設計より、定型9割をAIが受け、判断1割を人が受ける設計のほうが、顧客体験も運用も安定します。
当社(Rabona AI)のAIコールセンターは、この受電フローを一気通貫で提供しています。注文システムの照会、通話中のSMS送信、担当者への取次、録音・全文テキストのCRM記録までを1本の電話の中で行い、架電(発送遅延のお知らせやリマインドなど、こちらから架ける連絡)にも同じ仕組みを使えます。詳しくはEC・通販向けAIコールセンターのページをご覧ください。
削減効果は入電の内訳で決まります。用件別の集計から、通知・SMS・AI電話応答のどこから着手すべきかを一緒に整理できます。配送確認のデモ応対音声もご確認いただけます。
出典:Gorgias "How to Automate WISMO Requests"(公式ブログ、https://www.gorgias.com/blog/automate-wismo-requests)/Narvar "2025 State of Post-Purchase Report"(2025年11月、米国消費者3,461人調査、https://corp.narvar.com/press/new-narvar-state-of-post-purchase-report)/経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日、https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html)/IVRy EC・通販向け公式事例ページ(谷治新太郎商店、https://ivry.jp/lp/ec/)。他社サービスの事例は各社の公表情報にもとづく紹介であり、当社サービスの成果ではありません。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者です。