EC・通販向けWISMO対策配送問い合わせ削減

WISMOとは?
「注文した商品はどこ?」問い合わせの意味と削減策

WISMO(ウィズモ)は "Where Is My Order?"(私の注文はどこ?)の頭文字で、ECの顧客対応でもっとも多い「配送状況の問い合わせ」を指す言葉です。日本のEC・通販の現場で「配送確認の電話」「荷物どこ電話」と呼ばれてきたものと同じで、海外のECサポート業界では問い合わせ削減のKPIとして定着しています。この記事では、WISMOの定義、発生量のデータ、電話のWISMOが残り続ける構造、そして通知・追跡ページ・SMS・AI電話応答による4段階の削減策を、EC・通販事業者のCS責任者向けに整理します。

対象:EC・通販事業者のCS責任者・運営担当者|用途:配送問い合わせ(WISMO)の削減設計|監修:代表取締役 鳥邉 翔
この記事の要点

WISMOとは何か

WISMO(ウィズモ)とは、"Where Is My Order?"(私の注文はどこ?)の頭文字をとった略語で、EC・通販における「注文した商品が今どこにあるのか」「いつ届くのか」という配送状況の問い合わせを指します。海外のECカスタマーサポート業界では、問い合わせ分類とKPI設計の標準用語として使われています。

日本のEC・通販の現場に、この問い合わせが存在しなかったわけではありません。むしろ昔からあります。「配送確認の入電」「荷物どこ電話」「お届け日の問い合わせ」——呼び名がばらばらだっただけで、中身はWISMOそのものです。用語として束ねる意味は、この問い合わせ群を1つのカテゴリとして計測し、まとめて削減するという発想にあります。個別の電話として受けている限り「仕方のない業務」に見えますが、カテゴリとして数えると、CS工数の最大の塊が定型問い合わせであることが見えてきます。

関連語として、返金の所在を尋ねる WISMR("Where Is My Refund?") もあります。返品・返金の進捗問い合わせで、WISMOと並んで定型性が高いカテゴリです。本記事はWISMOを中心に扱いますが、削減の考え方はほぼ共通です。

WISMOはどれくらい発生しているのか

WISMOの発生量については、海外のEC支援事業者が実測データを公表しています。日本語の公開統計はまだほとんどありませんが、構造は日本のECでも変わりません。

データ内容出典
問い合わせの平均18%1万2,000超のECブランドが利用するヘルプデスクGorgiasは、WISMOを「ECでもっとも多い問い合わせで、受信リクエストの平均18%を占める」と公表していますGorgias(公式ブログ)
購入後の不安は3人に2人配送体験プラットフォームNarvarの「2025 State of Post-Purchase Report」(米国の消費者3,461人調査)では、消費者の3分の2が購入ボタンを押した後に不安を感じると回答。また86%が配送トラブルの経験があると回答していますNarvar(2025年11月)
市場は拡大し続けている経済産業省の令和6年度電子商取引市場調査(2025年8月発表)では、日本のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、物販のEC化率は9.78%。注文件数が増えれば、一定割合で発生するWISMOも比例して増えます経済産業省(2025年8月)

重要なのは18%という比率そのものより、「最多カテゴリなのに、顧客は対話に価値を感じていない」という性質です。WISMOの顧客が求めているのは「◯日に届きます」という一文の答えだけで、オペレーターとの会話を望んでいるわけではありません。答えは注文管理システムに必ず入っています。つまり、1件あたりの価値が低く、件数が最多で、答えがシステムに存在する——自動化の優先順位が構造的に最も高い問い合わせです。

なお、海外の記事では「WISMOは問い合わせの30〜50%」といったさらに大きい数字も見かけますが、当社で一次ソースを確認できた公表値はGorgiasの平均18%です。自社の比率は推定に頼らず、直近1か月の入電を用件別に数えて実測することをおすすめします。取扱商材や配送リードタイムによって、比率は大きく変わります。

なぜ「電話の」WISMOが残り続けるのか

発送通知メールを送り、追跡番号を案内し、FAQを整備しても、WISMOの電話は残ります。理由は単純で、電話をかけてくるのは、それらのWeb施策で自己解決しなかった(できなかった)層だからです。

放置したときのコストも、応対工数だけでは済みません。つながらない電話は同じ顧客からの再入電を生み、入電がさらに膨らみます。「問い合わせたのにつながらなかった」体験はレビューや解約理由に直結し、繁忙期には配送確認の電話が回線を塞いで、本来取るべき注文の電話まで取りこぼします。WISMOの負は「CS部門の忙しさ」ではなく、売上とLTVの問題として扱うのが正確です。

ここから導かれる設計原則は、「Web側の施策」と「電話側の施策」は別物として両方やる、です。チャットボットや追跡ページはWISMOの総量を減らしますが、電話をかけてくる層には構造的に届きません。電話のWISMOには、電話のまま自動化する打ち手が必要です。

WISMOを減らす4段階の対策

対策は「発生を減らす」施策(1・2)と「来た電話を軽くする」施策(3・4)の二層に分かれます。順番に積み上げるのが定石です。

  1. 発送・遅延の能動通知
    注文確認・発送完了・配達予定日・遅延発生の各タイミングで、顧客に先回りして知らせます。メールに加えてSMSやLINEを併用すると到達率が上がります。特に「遅延の通知」は効果が大きく、遅れを黙っていると問い合わせと不満が同時に発生しますが、先に知らせれば問い合わせの多くは発生しません。
  2. 追跡ページ・マイページの整備
    注文番号の入力なしで、メールやSMSのリンクから1タップで現在地が見えるようにします。配送会社のサイトへ番号を持って移動させる導線は、それだけで離脱と入電を生みます。
  3. 電話が来たら、通話中にSMSで追跡リンクを送る
    1・2を整備しても電話は残ります。その電話への口頭案内は「追跡番号を読み上げてメモしてもらう」形になりがちで、時間がかかるうえ間違いも起きます。通話中にその場で追跡リンクをSMS送信すれば、口頭で伝えるのは「◯日にお届け予定です」の一文だけで済み、顧客の手元には後から見返せる情報が残ります。
  4. 残る電話をAI電話応答で受け、注文照会まで自動で完結させる
    最後に残るのが「そもそも人が出る必要があるか」です。WISMOの応対は、注文の特定→配送状況の照会→回答→(必要なら)追跡リンクのSMS送信、という定型フローで、判断業務ではありません。AIによる電話自動応答で注文管理システムをその場で照会すれば、営業時間外や繁忙期のあふれ呼も含めて、人を介さず完結できます。

AI電話応答でWISMOはどこまで自動化できるか

AI電話応答(AIコールセンター)でのWISMO応対は、次のフローになります。プッシュ操作で分岐する従来型IVRと違い、顧客は「先週注文したサプリがまだ届かなくて」のような自由な話し言葉で話すだけです。

ステップ内容
1. 注文の特定発信者番号・注文番号・氏名などから注文を特定します。番号を押させる操作はありません
2. 配送状況の照会カート・注文管理システム(OMS)・CRMをAPI連携でその場で照会し、発送状況とお届け予定日を取得します
3. 回答とSMS送付「◯日にお届け予定です」を音声で案内し、あわせて追跡リンクを通話中にSMSで送ります
4. 例外の取次配送事故・長期遅延・住所変更を伴う対応など、判断や謝罪が必要なケースは、聞き取った内容を引き継いだうえで担当者へつなぎます。録音と全文テキストが残ります

4段階のどこまでやるかは、電話の残り方で決めます。目安として、入電のうちWISMOが2割前後を占めるなら、段階4(AI電話応答)まで含めた設計が投資に見合います。通知と追跡ページだけで電話が十分減る事業者もいれば、顧客層の関係でWeb施策がほぼ効かない事業者もあり、後者ほど電話側の自動化の効果が大きくなります。

実例もあります。木製品を扱う通販事業者の谷治新太郎商店では、AI電話応答サービス(IVRy)の導入により、月300件の問い合わせのうち約9割の電話を自動化したとベンダー公式事例で公表されています。問い合わせの中心が定型である通販の電話は、実務でこの水準まで自動化が届いています。

一方で、AIで完結させるべきでない領域もあります。配送事故のお詫びと補償の判断、破損・誤配送への対応方針の決定は人の仕事です。AIの役割は、その手前の「注文の特定と状況の聞き取り」までを済ませ、人が判断だけに集中できる状態を作ることです。全部をAIにする設計より、定型9割をAIが受け、判断1割を人が受ける設計のほうが、顧客体験も運用も安定します。

当社(Rabona AI)のAIコールセンターは、この受電フローを一気通貫で提供しています。注文システムの照会、通話中のSMS送信、担当者への取次、録音・全文テキストのCRM記録までを1本の電話の中で行い、架電(発送遅延のお知らせやリマインドなど、こちらから架ける連絡)にも同じ仕組みを使えます。詳しくはEC・通販向けAIコールセンターのページをご覧ください。

よくある質問(WISMO)

WISMOは何と読みますか?何の略ですか?
「ウィズモ」と読みます。"Where Is My Order?"(私の注文はどこ?)の頭文字をとった略語で、EC・通販における配送状況の問い合わせを指します。日本の現場で「配送確認の電話」と呼ばれてきた問い合わせと同じものです。関連語に、返金の進捗を尋ねるWISMR(Where Is My Refund?)があります。
チャットボットやFAQを整備すれば、電話のWISMOも減りますか?
総量は減りますが、電話は思ったほど減りません。電話をかけてくるのは、メール・追跡ページ・チャットボットで自己解決しなかった層、またはそもそもWebを使わない層だからです。特に高齢の顧客が多い通販では、Web施策と電話側の自動化(AI電話応答)を別の打ち手として両方設計する必要があります。
AIはどうやって注文情報を調べて答えるのですか?
カート・注文管理システム(OMS)・CRMとAPI連携し、通話中にその場で照会します。発信者番号や注文番号、氏名から注文を特定し、発送状況とお届け予定日を音声で案内、あわせて追跡リンクをSMSで送ります。システム連携の範囲は導入時の設計で決めるため、現在お使いのカート・OMSをお聞かせください。
セールや年末などの繁忙期だけ使うことはできますか?
できます。AI電話応答は席数課金ではないため、繁忙期に入電が数倍になっても、オペレーターの増員なしで同時に受けられます。平常時は一次受けと営業時間外対応、繁忙期はあふれ呼の受け皿、という使い方が現実的です。費用は入電件数と通話時間で試算します。
注文情報を扱う場合、本人確認や個人情報はどう扱われますか?
照会の前に、発信者番号に加えて氏名や注文番号など複数の情報で本人確認を行うフローを設計します。回答する情報の範囲(配送状況のみ、住所は読み上げない等)も業務設計で制御できます。通話は録音・全文テキスト化され、対応履歴として残るため、後から応対内容を確認できます。
まず、直近1か月の入電のうちWISMOが何件かを数えるところから

削減効果は入電の内訳で決まります。用件別の集計から、通知・SMS・AI電話応答のどこから着手すべきかを一緒に整理できます。配送確認のデモ応対音声もご確認いただけます。

出典:Gorgias "How to Automate WISMO Requests"(公式ブログ、https://www.gorgias.com/blog/automate-wismo-requests)/Narvar "2025 State of Post-Purchase Report"(2025年11月、米国消費者3,461人調査、https://corp.narvar.com/press/new-narvar-state-of-post-purchase-report)/経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日、https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html)/IVRy EC・通販向け公式事例ページ(谷治新太郎商店、https://ivry.jp/lp/ec/)。他社サービスの事例は各社の公表情報にもとづく紹介であり、当社サービスの成果ではありません。当社(株式会社Rabona AI)はAIコールセンターの提供事業者です。

このページの監修者
鳥邉 翔(株式会社Rabona AI 代表取締役)

電話業務のAI自動化を手がける株式会社Rabona AIの代表取締役。AIによる電話の受電・架電サービス「AIコールセンター」「AIテレアポ Rabona AI」などの音声AIプロダクトの開発・提供を統括している。本サイトの記事は、公開されている一次ソース(各社公式サイト・公式プレスリリース・公的統計)にもとづき編集部が執筆し、音声AIの開発・運用実務の観点から監修している。